- 国際苦味単位 IBUとはビールの苦味を数値化したもので国際基準として利用される
- 数値は概ね0~100であらわされ数値が高いほど苦い
- 日本の一般的な大手メーカーのビールはIBU 20前後のものが多い
ビールの特徴を説明するためにはいくつかの要素を考慮する必要がある。苦味や香りの種類、そしてそれらの度合い、色合い、またアルコール度数などが代表的なものとなる。これらは国際的に規格化された数値によって表現され、それにより客観的かつ統一的に品質の判断に利用されるのである。
その際に利用される数値は主に以下の4つとなる。
- IBU (国際苦味単位)
- SRM(標準参照法)
- EBC(欧州醸造所会議)
- ABV(アルコール度数)
このページでは苦味を表す指数、IBUについて紹介する
国際苦味単位、IBUとは
ビールは苦味は主原料の1つであるホップによってもたらされるがこの苦味が苦手な人もいることだろう。ビールはすべてが苦いわけではなく、苦味の少ないもの、また人によっては全く苦くないと思われるものも多数存在する。
そんな苦みを数値で表す指標の1つにIBU(アイビーユー)が使われる。これは、International Bitterness Units(インターナショナル・ビタネス・ユニット)、の略語で日本語では「国際苦味単位(こくさいにがみたんい)」と呼ばれ、その名の通り国際的にビールの苦味を客観的に示す値として利用される。
IBUの数値範囲
IBUはその数値が大きければ大きいほどより「苦い」とされる。取りうる数値の一般的な範囲は概ね「0~100」と言われる。日本の大手ビールは20前後のものが多い。
このIBU、ビールの苦み成分の中の中で最も多い割合を示す「イソフムロン 」の割合を示すもので、苦味に利用されるホップの使い方で値が大きく変化する。具体的には
- 使用するホップの量
- ホップの品種により、ホップに含まれるアルファ酸の量。
アルファ酸はまた「α酸」とも表される。ホップの主な苦み成分となる。 - ホップを煮込む時間
これらが増えることにより、苦味は増し、それに伴いIBUは上昇していく。

IBUの目安
日本人にもなじみのあるメジャーなビールのIBUを知っておくと苦味のレベルに対する数値の目安としては分かりやすかもしれない。まず以下に日本人にもなじみのあるビールでのIBUをご紹介。
製品 | IBU |
---|---|
バドワイザー | 10 |
アサヒスーパードライ | 16 |
キリン 一番搾り | 21 |
キリン ラガー | 25 |
サッポロ エビス | 25 |
よなよなエール | 41 |
オーストラリアビールのIBU
以下はオーストラリアの有名なビールにおけるIBUと簡単なポイントを説明していく。詳細は各ビールのページを参考にしていただきたい。
ビクトリアビターのIBU:約25

まずはオーストラリアの国民的ビール、ビクトリア・ビター(VB)のIBUである。こちらは非公式ながら概ね「25」と言われており日本のキリンラガーとほぼ同等の数値となっている。飲んだ感じではこちらの方が香ばしさが強く苦いと感じる方が多いと思われる。このようにその他のフレーバーや条件にて、人が感じる苦味の強さがが変わるのもビールの面白いところである。
XXXXゴールドのIBU:14

続いて、こちらもかつてオーストラリアビール販売シェアNo.1を獲得したことのある国民的ビール、クイーンズランド州特に大人気のXXXXゴールド(フォーエックスゴールド)である。こちらはIBUが14となっており大変軽いビールであることがうかがえる。暑い気候の中水のようにガブガブ飲まれていることも理解できる。オーストラリアのラガーはこのような軽めでIBUの低いビールが大変多くまた人気が高い*。
*一方でクラフトビールが人気で特にIPA等の高IBUビアもまた人気なのだ
クーパーズスパークリングエールのIBU:30

このあたりからオーストラリアのビールが本領を発揮されよう。本ビールはオーストラリアでシェア第三位の大手ビール会社、クーパーズブルワリーが打ち出すフラグシップクーパーズスパークリングエールである。こちらもオーストラリア国内では大変人気があり広く飲まれているビールではあるがIBUは何と30となる。日本ではIBUの高いビールは特別な時間を過ごしたり、自分へのご褒美用のビールをすることが多いのではないだろうか。オーストラリアではこの手のビールも大変気軽に消費されているのである。
バルターIPAのIBU:72
2016年に開業後一瞬にしてオーストラリアクラフトブルワリーの頂点へ上り詰めたバルターブルーイングカンパニーが打ち出すフラグシップの1つ、バルターIPAはオーストラリア国内でもトップクラスの高IBUを持つビールとして知られる。その値は驚くべき72となっている。ただしこの製品は大変バランスがよくやみくもにホップを投入し苦味を追加したというものでは無くスムーズに飲ませるところが本ブルワリーのすごさである。
フォスターズラガーのIBU:12

最後は世界的に大成功を収めている超有名なビール、フォスターズラガーである。こちらのIBUは12となっており、シャビシャビで全くうまくないと酷評されることもあるバドワイザーの10に迫る値となっている。日本のスーパードライが16となっているのでそれよりバドワイザー寄りの苦味加減という事だ。実際は、薄くて飲めないかというと全くそのようなことはない。程よい甘みや特徴を持ち、ちゃんとした”普通のビール”というていを成している。さすがは世界に認められる大手の技術と言えよう。