CASTLEMAINE PERKINS(カッスルメインパーキンス)概要
カッスルメインパーキンスはオーストラリア、クイーンズランド州(Queensland)、ブリスベン(Brisbane)の郊外ミルトン(Milton)に本拠地を置く醸造所。
現在はオーストラリア企業のライオン(Lion)によって保有されているが、そのライオンもキリンホールディングスに買収されており、結果日系企業の参加となる。
カッスルメインパーキンスで作られるビールはすべてXXXX(「フォーエックス」と読む)というブランド名で統一されている。
オーストラリアをよく知る日本人あれば「カッスルメインパーキンス」の名前は知知らなくとも、XXXXのビールブランドは知っているまぁ有名なビールそういった認知かもしれない。
しかしオーストラリアでは「XXXX」を知らないものはいない。それほど有名かつ、強烈なビールブランドとしてオーストラリア国内に根付いている。
もともとブリスベンという街には大きな産業や観光名所が少ないため、現在は同ブルワリーはブリスベンにとってなくてはならない存在となっており、まさにブリスベンのアイコン的企業(というか醸造所)となっている。
カッスルメインパーキンスブルワリーの建物一番上には赤々と光るXXXXのネオンがあったり、同ブルワリーのキャラクターとしてMr. Fourex(ミスターフォーエックス)なる謎の人物を登場させたりとユーモアな姿勢がみられる一方で、数々のスポーツや自動車をはじめとしたレースでのスポンサーもしており人々の目に触れる機会を増やすことでの人気維持にも努めている。
フォーエックスブランドが示すX(エックス)は元々、エールタイプのビールの強さを示意味合いがあり1878年にはすでにSparkling ale(スパークリングエール)にその文字が利用されていた。 その後1924年にはXXXXをブランドとして利用する事を決定。それから現在に至るまでに様々なXXXXシリーズが登場している。
現在同ブルワリーの中核をなす商品は2つある。
1つは「XXXX Bitter(フォーエックスビター)」。通常ビターと名がつくビールはエールを指すことが多いのだが、こちらはラガービールでスッキリした飲み口のなかにもボディーの効いた苦味を残し後味には甘みも感じられるフラッグシップで大人気の商品*。純粋にオーストラリア国内のみで採れる原材料を低温でじっくり熟成させることによってフルフレイバーを実現している。
*オーストラリアでは製品名に「ビター」とついても大抵、下面発酵ラガータイプとなる。
もう1つは「XXXX GOLD(フォーエックスゴールド)」。こちらは上のXXXXビターをとても飲みやすくスッキリさせた感じのミッドストレングスビア。オーストラリアの伝統的な製法を守り麦芽の旨み、甘みを十分に引き出しスッキリ爽快な味わいに仕上げられている。1991年に登場した製品であるがクイーンズランドの気候にもマッチし爆発的に人気を獲得。現在ではビクトリアビターと並び
「オーストラリアのビール=XXXXゴールド」
と言われる程、世界的にも認知されているオーストラリアのトップブランドへと成長した。
その他過去にはエールや小麦ビール、ドラフトタイプやライトビールをはじめとし色々な商品も製造されていた。
カッスルメインパーキンスの歴史
カッスルメインパーキンスの歴史は1877年、ニコラスフイッツジェラルド(Nicholas Fitzgerald)とエドワードフイッツジェラルド(Edward Fitzgerald)の兄弟が現在の醸造所に位置する場所に古びたお酒の蒸留所を購入し、ビール醸造所、カッスルメインブルワリー(Castlemaine Brewery)を立ち上げた事にはじまる。
実は時を前にして1859年、フィッツジェラルド家はビクトリア州のカッスルメイン(という場所)にて醸造所を運営していた。(その後メルボルンやシドニーてもブルワリーを立ち上げていった。)
ニコラスとエドワードはこの最初に立ち上げられた地の名前を彼らのブルワリーにも付けたのだった。
カッスルメインブルワリーを立ち上げた翌年の1878年にはすでにビールの販売を開始。最初に売られた商品は、XXX(トリプルエックス)スパークリングエール(XXX SparklingAle)と名付けられた。この時点ですでに現在と同様の「X」が製品名としてつけられたのである。
「X」の意味合いは冒頭説明した通りだが、イギリスで用いられたストロングな味わいを持つビールに「X」を付与しするという風習からとられたものである。
(日本のブロガー達や時にはビール会社の説明にも用いられる「当時ビールの品質を「X」で表す風習があったことからこの名がつけられた」という由来の説明は明確に否定したい。オーストラリアの英語の資料を見てもそのようなものは見受けられない。あったらどなたか教えてください。)
カッスルメインブルワリーは安定した経営を続け徐々に規模を拡大、オーストラリアにラガータイプのビールが登場した際にも、クイーンズランド州では最初にラガー製造にも乗り出したりした。
1866年には、後にカッスルメインブルワリーに買収されることとなるパーキンスブルワリー(Perkins Brewery)がパトリックパーキンス(Patrick Perkins)によって立ち上げられた。クイーンズランド州のブリスベンから約130km離れた地トゥーンバ(Toowoomba)という地であった。
その後1872年、パーキンスブルワリーはシティーブルワリー(City Brewery)を吸収しブリスベンへの進出を果たしていた。
1924年「完璧なレシピの完成」とともにこれまで販売していた「XXX(トリプルエックス)スパークリングエール」に代わり、現在のカッスルメインパーキンスブルワリーの人気を決定付けた商品、XXXX bitter aleの販売を開始した。
エールと名が付くこのビール、実はラガー製法によって作られており、そのテイスト、クオリティーの高さから瞬く間に周囲から市場を奪っていき、人気を不動のものとした。この製品が現在でも同ブルワリーのフラッグシップとして売られているXXXXビターである。
また、同じ年には下の写真で示すマンガ風のキャラクター、ミスターフォーエックスが登場。現在でも愛くるしい表情でXXXXの人気を支えている。
1928年には上で紹介したパーキンスブルワリーを吸収合併カッスルメインパーキンスリミテッド(Castlemaine Perkins Limited)と名前を変えた、クイーンズランド州で一番大きな醸造所へ成長していった。
その後も安定した成長を遂げていったカッスルメインパーキンスは、50年代には新たな醸造所に建て替え、70年代には新たな商品を次々と打ち出し、80年代からは、スポーツのスポンサーも務めるようになった。
1980年にはニューサウスウェールズ州に本拠地を置くトゥーイーズブルワリー(Tooheys Brewery)と合併、更に大きな成長を遂げていくさなか、1985年、ボンドコーポレーション(Bond Corporation)に買収されてしまう。
さらにその後1992 年、ボンドコーポレーションの株式を精力的に購入していた巨大ビール会社、ライオンネイサン(Lion Nathan)(*現材の「ライオン(Lion)」)によって買収された。 ライオンネイサンはキリンホールディングスによって2009年買収され、名前を現在のライオンへ変更。
現在まで安定した経営が続いている。
キャッスルメインパーキンス?
ブルワリーの名前につく「カッスルメイン」であるが英語では「Castlemain」と書くため、本醸造所の名前は「キャッスルメインパーキンス」と記述されるのではないかと思われることがある。
オーストラリアはイギリス系を主体とした英語を利用するためCastleのつづりは「キャッスル」ではなく「カッスル」(に近い音)で発音される。
文章内などの日本語表記では「カッスル」と記載されるが、発音記号は「kάːsl」となり実際の発音は頭にアクセントを置き、まるで「カーソル」と言っているように聞こえるがよく聞くと「カースーゥ」の表記が最も近い。
ちなみにシドニー郊外に「Newcastle」という街があるがこちらもガイドブックなどでは「ニューキャッスル」ではなく「ニューカッスル」と記載されることが多い。
時々ウェブサイトや印刷されるものであっても本ブルワリーのことを「キャッスルメインパーキンス」と表記しているものを見かけることがある。
当サイトではそれは誤りで「カッスルメインパーキンス」と記載すべきだと主張します。