MOUNTAIN GOAT BEER(マウンテンゴートビア)概要
マウンテンゴートビアは、1996年にビクトリア州メルボルンのリッチモンドで誕生したクラフトブルワリーです。当時のオーストラリアではまだクラフトビールの概念が広く浸透しておらず、その存在は非常に革新的でした。わずか数年のうちに高品質なビールとユニークなスタイルで注目を集め、オーストラリア全土に知られるようになりました。
「Mountain Goat(山羊)」という名前には、“どんな険しい道でも登り切る山羊のように、困難を恐れず挑戦を続ける”という創業者たちの思いが込められています。その精神は創業から現在まで受け継がれ、マウンテンゴートはクラフトビール文化を牽引する存在となりました。
現在はリッチモンド本社に加え、ニューサウスウェールズ州シドニーのニュータウンにも拠点を展開し、それぞれの地域で人々に愛され続けています。
マウンテンゴートビアのこだわりとフィロソフィー
マウンテンゴートビアが大切にしているのは、「クラフトマンシップ」「革新」「環境への配慮」、そして「コミュニティとのつながり」です。
- 自然で正直なビール造り
すべての製品はヴィーガンフレンドリーで、保存料や添加物を一切使用していません。素材の持つ力を最大限に引き出すことを徹底しており、そのためどのビールにも清らかで鮮やかな風味が宿っています。 - 環境への取り組み
リッチモンドの醸造所にはソーラーパネルや雨水タンクが導入されており、年間25万リットル以上の水を節約しています。さらに建物内部には再利用資材が用いられ、持続可能なブルワリー運営を目指しています。 - 常に新しい挑戦
「クレイジーバッチ」と呼ばれる少量限定の実験的ビールを次々と開発し、タップルーム限定で提供しています。これらは醸造チームの遊び心と挑戦心を体現しており、ファンにとって特別な体験を与えています。 - ビールは人と人をつなぐ
マウンテンゴートの哲学の根底には「ビールを通じて人々を結び付けたい」という思いがあります。タップルームはその象徴であり、地元住民も観光客も同じ空間でビールを楽しみ、自然に交流が生まれる場となっています。
マウンテンゴートビアの歴史と創業者
このブルワリーは、デイブ・ボナイトン(Dave Bonighton)とカム・ハインズ(Cam Hines)という二人の情熱によって生まれました。
デイブは自宅の裏庭で趣味としてビールを仕込むエンジニア気質の人物で、緻密な研究心を持っていました。一方カムは音楽業界を離れ、カナダを旅する中でマイクロブルワリー文化に触れ、その多様性と可能性に強く心を動かされました。カムは旅先で感じた熱意をそのままデイブにぶつけ、「一緒にブルワリーを立ち上げよう」と手紙を送りました。その情熱が二人を結び付け、マウンテンゴートの冒険が始まったのです。
1996年には3種類の試作ビールを完成させ、翌1997年には「ハイテールエール(Hightail Ale)」を発売。強烈な個性と味わいで瞬く間に人気を博しました。
当初は資金が限られており、他の醸造所に設備を借りて生産を行っていましたが、品質への妥協はありませんでした。1999年にはついにリッチモンドに最初の醸造所を設立。瓶詰めはすべて手作業で行われ、約200万本ものビールを世に送り出しました。その努力は、オーストラリアのクラフトビール文化を根付かせる原動力となりました。
2004年、さらに大きな施設を建設し、2011年には2500リットル規模の設備を導入。現在もリッチモンドのブルワリーを拠点に、国内外にクラフトビールを届け続けています。
ビール製品ラインナップ

- マウンテンゴート・ベリー エンジョイアブル ビア(Mountain Goat Very Enjoyable Beer):軽快で飲みやすく、日常に寄り添う一本。
- マウンテンゴート・ロー・カーブ(Mountain Goat Low Carb):カロリーを抑えながらも満足感のある味わい。
- マウンテンゴート・オーガニック・スチームエール(Mountain Goat Organic Steam Ale):オーガニック原料を使用した爽やかなエール。
- マウンテンゴート・テイスティ・ペールエール(Mountain Goat Tasty Pale Ale):柑橘系ホップが香るフルーティーなペールエール。
- マウンテンゴート・サマーエール(Mountain Goat Summer Ale):夏にぴったりの軽やかな味わい。
- マウンテンゴート・ビリー・ザ・ミッド(Mountain Goat Billy the Mid):アルコール度数を抑えつつも、しっかりとした風味。
- マウンテンゴート・アイ・ピー・エー(Mountain Goat IPA):力強いホップの苦みと香りを楽しめるIPA。
- マウンテンゴート・ヘイジー・ペールエール(Mountain Goat Hazy Pale Ale):濁りのある外観とトロピカルな香りが特徴。
- マウンテンゴート・ファンシー・パンツ(Mountain Goat Fancy Pants):リッチで複雑な味わいを持つスペシャルなアンバーエール。
- マウンテンゴート・ヘイジー・アップルサイダー(Mountain Goat Hazy Apple Cider):リンゴ果汁を用いた爽やかなサイダー。
- マウンテンゴート・ハイテールエール (Mountain Goat Hightail ale):マウンテンゴートビアの礎となった伝説のアンバーエール。現在は廃盤。

タップルームと観光
リッチモンド本社タップルーム(ビクトリア州メルボルン)
リッチモンドにある本社タップルームは、マウンテンゴートの象徴的な拠点です。倉庫を改装した開放的な空間には長いテーブルが並び、地元の人々や観光客が肩を並べてビールを楽しみます。ここでは定番商品に加え、実験的な「クレイジーバッチ」シリーズもオンタップで提供され、常に新しい発見があります。毎週水曜から日曜に営業しており、フードトラックやライブイベントが行われる日もあり、ビールと共に文化を楽しめる場となっています。
ニューサウスウェールズ州ニュータウンのタップルーム
ニュータウンのタップルームは、シドニーのトレンド発信地のひとつに位置しています。活気あるアートと音楽の街並みに溶け込み、クラフトビール好きが集う拠点として親しまれています。ここではリッチモンド同様に限定醸造のビールが提供され、都市型ブルワリーならではのエネルギッシュな雰囲気を味わうことができます。周辺にはカフェやレストランも多く、観光と合わせて訪れる人も少なくありません。

画像提供:www.goatbeer.com.au/

