サウスオーストラリアンブルーイングカンパニー(South Australian Brewing Company)

SOUTH AUSTRALIAN BREWING COMPANY
(サウスオーストラリアンブルーイングカンパニー)概要

WEST END BREWERY (ウエストエンドブルワリー)

サウスオーストラリアンブルーイングカンパニーはSouth Australia(南オーストラリア州)の州都、Adelaide(アデレード)の中心地から北西へ約5km場所、Thebarton(スバートン ※1)に本拠地を置くビール醸造会社。
1859年に立ち上げられ1993年ライオンネイサンによる買収により姿を消した。
オーストラリアのビール業界、アルコール産業に非常に大きな影響を与え今なお伝説の会社として語り継がれるほど(業界においては)認知度が高い。
サウスオーストラリアンブルーイングカンパニーは主に2つのブルワリーにてビールの醸造が続けられてきた。
1つはアデレード中心地に存在したWest End Brewery(ウエストエンドブルワリー)、もう1つはスバートンにあったSouthwark brewery(サザークブルワリー)※2 である。
サザークブルワリーは「ウェストエンドブルワリー」の名の下ライオンネイサン社により現在でもウェストエンド(というブランドのビール)の醸造を続けている。

オーストラリア 州ごとの地図

サウスオーストラリアンブルーイングカンパニーの発祥はアデレードのシティー中心地で1859年、William Clark(ウィリアムクラーク)氏によって建てられたWest End Brewery(ウエストエンドブルワリー)が1888年にKent Town Brewery(ケントタウンブルワリー)や、ワイン卸のRounsevell & Simms(ランスベルアンドシモンズ)を吸収合併した際に誕生した企業である。

1938年にはスバートンにあるライバル会社Walkerville Co-operative Brewing Company(ウォーカービルコーポレーティブブルーイングカンパニー)を買収。同時に、ウォーカービルブルーイングが保有していた有名なビールブランド、Southwark(サザーク)を手に入れる。
その後ウォーカービルコーポレーティブブルーイングカンパニーが保有している醸造所をサザークブルワリーと改名。
1980年にはウエストエンドブルワリーでのビール醸造を中止。醸造所はケントタウンに移される予定だったがスバートンのサザークブルワリーを継続して利用することに決定、本拠地もスバートンへ移しそこが現在まで続く醸造所となっている。※3

本ブルワリーにおいてはウエストエンドとサザークというブランドのもとかつては多くの種類のビールが制造されていた。
ウェストエンドシリーズでは

West End Draught (ウェストエンド ドラフト)
West End Export (ウェストエンドエクスポート)
West End Extra Light (ウェストエンドエクストラライト)
West End Gold (ウェストエンド ゴールド)
West End Light (ウェストエンドライト)
West End 107 (ウェストエンド 107)

等が、
また、サザークシリーズでは、

Southwark Bitter (サザーク ビター)
Southwark Black Ale (サザークブラックエール)
Southwark Old Stout (サザークスタウト)
Southwark Pale Ale (サザーク ペールエール)
Southwark Premium (サザーク プレミアム)
Southwark White (サザーク ホワイト)

などが存在したが多くの種類は生産が中止されてしまった。
2000年代に入りWest End Draught(ウエストエンドドラフト)、Southwark Bitter(サザークビター)、Southwark Old Stout(サザークオールドスタウト)の3種類のみはなんとか制造が続けられていたものの、残念ながらサザークの制造は中止されてしまった。
同ブルワリーでは現在ウエストエンドドラフトと、その他のビールブランドが醸造されている。

ウェストエンドドラフトは1850年代から続くロングセラー。
麦芽とホップのバランスが絶妙で程よい苦味とある程度ドライな仕上がりにより万人に受け。「どこにでもある普通のビール」と高い評価をしない人もいるが、丁寧な仕上がり、飲みやすくそれでいて味わい深い旨さは現在でも多くの人に愛される。

サザークとして最後まで生き残ったサザークビターは下面発酵で作られるラガータイプのビール。フルボディでしっかりした味が特徴。コク深く苦味にも輪郭があり南オーストラリア州での人気は圧倒的でラガーでは最も売れていた。ウエストエンド同様万人受けのいわゆる一般的ビールではあるものこちらも丁寧かつ長年愛される旨さがあった。
サザークオールドスタウトはアルコール度数7.4%の極上スタウトで大手ビールメーカーらしからぬ高品質で非常に人気が高かった。
ビール品評会での受賞回数も多い。
古くからの英国式製法で醸された深い味わいはコーヒーやカラメルの香ばしさにバニラ、チョコレート、アイスクリーム等の複雑な甘さと心地よい酸味が絶妙に絡み合う。
こちらは未だに復活の声が望まれる伝説のスタウトの1つである。

※1:英語発音ではアクセントを頭に置いて「バトン」「スィバトン」と聞こえる。
※2:Southwarkはアクセントを頭に置き「サザーク」と発音する。サウスウォークではないので注意。発音記号は /ˈsʌðək/  となる。
ただし、ネイティブでも「サウスウォーク」と発音している人に出会っている。
※3:現在ではスバートンにあるこちらのブルワリーを「ウェストエンドブルワリー」とよんでいる

 

サウスオーストラリアブルーイングカンパニーの歴史

サウスオーストラリアンブルーイングカンパニーの歴史は主に上記の通りで、
1859年 ウィリアムクラークによってウエストエンドブルワリー立ち上げ
1888年 ケントタウンブルワリーとランスベルアンドシモンズの吸収合併
1938年 ウォーカービルコーポレーティブブルーイングカンパニーの買収
が大きな流れになっている。
その歴史のなかでその他の数々のビール会社(及びそのブランド)を吸収してきたが、それらの名はすべて消滅してしまった。

1900年代の初頭まではウエストエンドのブランドを主体とした販売戦略にて安定した売り上げがあった。 サザークブランドを獲得後は南オーストラリア州での売り上げを支配的な立場にまでもっていった。
ウエストエンドブルワリーと、サウスオーストラリアブルーイングカンパニーとの関係については上で述べた通りだが、もうひとつ紹介しておかなければならない事柄がある。
オーストラリアのビールや、特にワインの歴史をひもとくと必ずある企業の名前に出会うことになる。
それはSouthcorp(サウスコープ)という名の会社で、2005年のフォスターズグループによる買収が行われる以前はオーストラリア最大のワイン会社で保有するワイナリーやブドウ畑の面積規模は世界でも最大、売り上げ高も世界最大級をを誇った巨大ワイン企業である。
この、サウスコープが他でもなく、このサウスオーストラリアブルーイングカンパニーから誕生したのである。 その流れは主に次のように発生した。

1971年にホーディングス会社のSouth Australian Brewing Holdings Ltd.(サウスオーストラリアブルーイングホーディングス)を立ち上げ、80年代にはワイン事業に参入。 当初うまくいかなかったワイン事業は次第に成長していき、Penfolds(ペンフォールド)やLindemans(リンデマン)といわれる優秀なワイナリーも獲得していった。

1992年、ついにビール部門のサウスオーストラリアブルーイングカンパニーがライオンネイサンに売却された。
残ったワイン部門は1994年にサウスコープの名に変更され、ワイン会社としては世界最大級にまで成長。
2005年、フォスターズグループによるサウスコープ買収に合意。 皮肉にもウエストエンドブルワリーの行く末は、部門は違えどオーストラリア国内、ビール最大手のフォスターズグループ※4と第二位のライオンネイサンに分かれて吸収されることなった。

※4:フォスターズグループは2011年に名前をCarlton & United Breweries(カールトンアンドユナイテッドブルワリーズ)略してCUBに変更している。

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