トゥーイーズブルワリー(TOOHEYS BREWERY)概要

トゥーイーズブルワリーはオーストラリア、ニューサウスウェールズ州(New south Wales)((NSW)のシドニー郊外、リッドカム(Lidcombe)に本拠地をおき、他社製品のビクトリアビターにならび絶大な人気を誇る「トゥーイーズ」ブランドのビールを製造する。
かつては別の会社であったハーンブルワリー(Hahn Brewery)との合併にともない、トゥーイーズとハーンの2つのブランドを同ブルワリーのもと販売している。トゥーイーズ、ハーンのいずれのブランドももニューサウスウェールズ州はもとより、オーストラリア国内での人気は大変高い。
1993年に当時のライオンネイサン(現在のライオン)に買収され、そのライオンも2009年にはキリンホールディングスに買収されたことにより日本企業の傘下となる。
トゥーイーズブランドはラガータイプを中心にエールやビターをはじめ多くの種類が存在し、中でもトゥーイーズニュー(Tooheys New)は同ブルワリーでの最も基本的かつ売り上げのあるラガータイプのビールとなっている。 また、トゥーイーズエクストラドライ(Tooheys Extra Dry)などのドライビールを製造することによって若い世代からの人気も厚い。
いずれのブランドもマーケティングやスポンサー等の戦略が非常に優秀でメディアへの露出も多く、常に高い人気を維持している。
トゥーイーズはオーストラリアの人気スポーツ、ラクビーユニオンや国内最大級の競馬レース、メルボルンカップ、その他多くのスポンサーを務めており、また、ハーンはそのテレビコマーシャルの質が非常に高いことから国内のみならず、海外からも高い評価を受ける。
(是非ともYoutube等で確認していただきたい。)
トゥーイーズブルワリーの歴史

トゥーイーズブルワリーの歴史は1860年。2人のトゥーイー兄弟、ジョントーマストゥーイー(John Thomas Toohey)とジェームスマシュートゥーイー(James Matthew Toohey)がメルボルン(Melbourne)にてパブの経営をしたことに始まる。
来る日も誰かの作った美味しくないビールを注ぐことに嫌気がさしていた彼らは自分達でビールを作ることを決意。
ニューサウスウェールズ州、シドニー、現在のダーリングハーバー(Darling Harbour)の地へ移り住んだ。
1869年には最初のビールが完成。「Toohey」の名を冠しトゥーイーズブラックオールドエール(Tooheys Black Old Ale)と名付けられたそのビールは現在でも引き続きトゥーイーズオールド(Tooheys Old)の名で販売されている。
1875年には生産が追い付かない程にまで人気を獲得。
ダーリングハーバーから同じく、シドニー中心地から程近いサリーヒルズ(Surry Hills)へ移動、本格的なブルワリーを立ち上げたのだった。
1902年にはブルワリーを法人化、トゥーイーズリミテッド(Tooheys Limited)を立ち上げるとともに、株式も公開した。
1931年、この頃にはオーストラリア国内にもラガー人気の波が押し寄せてきており、トゥーイーズもそれに答えるべく、ラガーの製造を開始した。トゥーイーズニュースペシャルラガー(Tooheys New Special Lager)と名付けられたそのビールは、現在同ブルワリーでは最も売り上げのあるトゥーイーズニュー(Tooheys New)として知られている。
1955年にはシドニーの西側郊外リッドカムという街へブルワリーを移動。ここが現在まで引き続きいてトゥーイーズで使われている醸造所となった。
1980年、クイーンズランドに本拠地をおくブルワリー、カッスルメインパーキンス社(Castlemain Perkins)と合併、この新に合併した企業はホールディングス会社のボンドコーポレーション(Bond Corporation)によって買収されてしまう。 このボンドコーポレーションも当時のライオンネイサン(現在のライオン)によって、少しずつ株式を取得されていった。
2007年には完全にライオンネイサンによって保有されることとなったが冒頭の通り、2009年にはキリンホールディングスに買収。その後は現在まで安定した運営が続いている。
ハーンブルワリーの歴史
ハーンブルワリーの歴史 ハーンブルワリーの歴史はその知名度に比べると意外なほど浅い。
1986年、チャールズ(チャック)ハーン博士(Dr. Charles “Chuck” Hahn)がビールの醸造を始める為に、オーストラリアニューサウスウェールズ州、シドニーのキャンハーダウン(Camperdown)に古びた工場を購入したことに始まる。
チャック博士は科学工学の博士号を持ち、なおかつその人生の長きに渡ってビール業界に従事しており、アメリカのクアーズ(Coors)や、トゥースブルワリー(Tooth brewery)(後にカールトン&ユナイテッドブルワリーズによって吸収される)、現在のライオンの前身であるLion Brewery(ライオンブルワリー)において、主要なポジション、役割を担ってきた。
ビール業界の様々なノウハウを持つチャックが自分のブルワリーを持つということは自然な流れであった。 プレミアムビールの製造をメインで行ってきたチャックはあっという間にハーンの名をオーストラリアにとどろかせた。
有名になったとは言ってもさすがに小さなマイクロブルワリーであったため、90年代、オーストラリアを襲った不景気に打ち勝つことはできなかった。
苦肉の策で今では幻となったシドニーラガー(Sydney Lager)をローンチするものの、経営を劇的に改善させるには至らなかった。
そんなこともあり、1993年にライオンネイサン(現在のライオン)によって買収されてしまう。
ハーン製品は製造拠点をトゥーイーズと同じブルワリーへ移行。現在でも別ブランドとして、トゥーイーズブルワリーにて生産が続けられている。
チャックはといえば、その後ライオンネイサンの主要なポジションに付き、国内外を始め多くのブルワリー立ち上げに携わった。
余談ではあるが、チャックは1998年にハーンブルワリーがもとあった場所へ戻り別のマイクロブルワリーを立ち上げた。
新たなブルワリーはオーストラリアで最初に立ち上げられたブルワリーの名前をとってモルトショベルブルワリー(Malt Shovel Brewery)と名付けられ、そこて製造されるJames Squire(ジェームズスクワイア)シリーズは、広く人気を獲得している。
ジェームズスクワイアーというその名もまた、モルトショベルを立ち上げた人の名前である。