ビクトリアビター(ブイビー)(VB)

ビクトリアビター、ヴィクトリアビター(ブイビー)(VB)

名称:Victoria Bitter ビクトリアビター
産地:ビクトリア州 メルボルン
ビール種別:ラガー
アルコール度数:4.6%
ビールタイプ:フルレングス
醸造所:Carlton & United Breweries(CUB)カールトン&ユナイテッドブルワリーズ(通称「CUB」)

 

ビクトリアビター(ブイビー)概要説明

ビクトリアビターはオーストラリア最大のビール醸造所カールトンアンドユナイテットブルワリーズ(通称「CUB」)にて醸造されるオーストラリアでは最も有名でシェアのあるビール。
英語表記はオーストラリアビクトリア州を意味する「Victoria」から来ているため日本語表記では「ヴィクトリアビター」や「ヴィクトリア・ビター」と記載されることもある。
略称は日本国内では「ブイビー」、オーストラリア国内では英語発音にて「ヴィービー」とよまれる。
※本サイト内では「ビクトリアビター」も「ヴィクトリアビター」も本ページにて記載する同一製品を表している。

 

ビクトリアビターの歴史

ビクトリアビター(ブイビー)は1854年、Thomas Aitken(トーマス エイトキン)によって生み出された。
当時ビクトリア州には醸造所が存在しなかったため彼の周りで飲まれているビールは個人で独自に造られるものか他の州より時間をかけて運ばれてくる物しかなかった。
その為ビールの品質は非常に低く彼はそれにうんざりしていた。
思い立たったトーマス エイトキンはビクトリア州で最初の醸造所となるビクトリア・ブルワリー(Victoria Brewery)を立ち上げすぐにビクトリアビターを開発したのだ。
その当時、今と殆ど変わらないレシピで作られたビクトリアビター(ブイビー)は瞬く間に大人気となりビクトリア州全土に知れ渡っていった。
1900年代、人気は更に拡大、1960年代になるとテレビが一般家庭へ普及しそれとともにビクトリアビターのTVコマーシャルが開始、オーストラリア全土で爆発的な人気を獲得しその地位を不動のものへとしていった。

(ビクトリアブルワリーはその後現在の醸造所カールトンユナイテッドブルワリーズに買収され現在に至る。詳しくはフォスターズグループページ内の「フォスターズグループの歴史」を参考に。)
ちなみにビクトリアビターの歴史を紐解くと時々Thomas C. Moore(トーマス シー ムーア)という人物の名前を耳にすることがあるが彼は誤って引用されその名残が現在まで続いてしまっているようで実際はビクトリアビターに関係がない。

 

マーケットシェア

ビクトリアビター(ブイビー)は、非常に多くの種類があるオーストラリアのビールの中で断トツ、圧倒的な売り上げを誇る。
2004年の出荷量は全ビールのうち3分の1を占めていたり、2009年には10億ドル以上の売上をたった1製品で叩き出した唯一の商品となったり※1、オーストラリア全ての州で売上げトップ3に入る唯一の商品であったり※2と、シェアNo1にまつわるエピソードは多く、オーストラリア国内では完全に支配的な地位を築きあげている。

名前には「ビター」と付くが実際には下面発酵で醸造されるフルストレングスのラガータイプのビールであるため注意が必要となる。(「詳しくはビールの種類のページ」Bitter(ビター)の項目を参照)
同様にその商品名「ビター」とつくものの、実際には「ビタービール」に分類されず「ラガー」タイプである、というものがオーストラリア国内には多数存在する。
と言うよりオーストラリア国内では名前に「ビター」がついてもそれは「ラガー」だと思ったほうがよいくらいだ。

※1:1秒に1ケース売れている計算になるそうだ
※2:オーストラリア国内ビールの売上はそれぞれの州によってかなりの特色がある為、ある州では非常に有名なビールでも別の州へ行けばはなかなか手に入らないなどといったことが起こる。

 

このVB、かつては「圧倒的・支配的なシェア、全ビールの出荷量のうち3分の1」等の表現に全く語弊、誤りは無く事実そのものであった。
しかしながら残念なこと現在これは少々大げさな表現であると言わざるをえない。。
実はこのブイビー、2004年頃から急激にそのシェア、売上を落としていったのだ。

 

ヴィクトリアビター シェア縮小の理由

シェア下落の主な理由は2つ(+1つ)ある。
1つはビール業界内の変化だ。
かつてオーストラリア国内のビールはまさにVB一辺倒だった。右を見ても左を見てもどの飲み屋に行っても置いてあるものは全てVB。そして誰もが皆一様に何も迷うこと無く当間のようにVBを飲んでいたのである。

それが時代の流れとともに変わっていった。人々のビールに対する嗜好の変化やビール文化そのものが成長、成熟していった為だ。
1990年台頃から大手メーカーは様々なビールブランドを打ち出し、変化してゆく顧客ニーズに対応していった。
同時に1990年台終わりごろ、極めて高いクオリティーを持つ、若手を中心とした新しいビール会社やブルワリーが続々と立ち上がり国内で急速に成長を遂げていった。
また近年成長が著しいビール分類、Mid-Strength(ミッドストレングス)。ややアルコール度数を抑えたこのジャンルはオーストラリア人に広く受け入れられていった。
これらの理由により誰もがVBだけを飲んでいた時代は終わり、皆の嗜好が様々なビールへと向かっていったのである。
結果相対的にVBのシェアが下がっていった。

もう1つの理由はビール消費量そのものの低下である。
オーストラリア国内のビール消費量は1970年台をピークに年々減少しており、その当時と比べ半分以下となってしまった。2014年には1945年以来過去最低の消費量を記録している。
またもともと大きな産業であったワイン業界の成長や主に若者向けとして売りだされる瓶入りカクテルを始めとしたその他アルコール飲料セグメントの急速な発展等が大きな要因となった。
VBだけを飲んでいた人々がどんどん他のアルコール飲料を飲み始めたのである。

VBのシェア下落はその後も続きついに2012年、クイーンズランド出身の超メジャービール、ミッドストレングスのXXXX Gold(フォーエックスゴールド)にシェアナンバーワンを奪われるという事件が起こったのだ。
これはオーストラリア国内では大きなニュースになったほどだ。

2011年のマーケットシェアはVBの13.7% に対し XXXXGoldが11.7% と迫っていた。
これが2012年3月時点でVBが12.3%、XXXXGoldが 12.4% とついに逆転したのである。

XXXX Gold(フォーエックスゴールド)のシェアNo1獲得は近年急速に成長を遂げるミッドストレングスセグメントの人気を裏付ける結果となった。
実はVBのシェア下落やミッドストレングスセグメントの急速な成長に対しカールトンアンドユナイテットブルワリーズは2007年にいち早くVB Gold(ブイビーゴールド)というビクトリアビターのミッドストレングス版を打ち出しXXXX Goldのシェア拡大に対抗していたのである。
それでもVBのシェアナンバーワンを守り切ることは出来なかった。

実はVBがシェアNo1を守れなかった理由がもう1つあるのではないかと言われている。
それがレシピの変更である。
VBのアルコール度数はもともと4.9%であったが2009年レシピが変更されにアルコール度数が4.6%に下げられた。
レシピが変更された主な理由はアルコール度数によって課金される酒税に対し、消費者にリーズナブルな価格で提供を続けるためと言われている。
4.6%のアルコール度数は概ねオーストラリアビールの標準的な度数であることから、カールトンアンドユナイテットブルワリーズ(CUB)はアルコール度数を下げることによる人気の低下は特に見られなかったと発表している。
しかし実際は違った。多くのビクトリアビターファン(VB)がこれに反発、CUBに対し抗議を行ったり、デモ行進にまで発展する事態となった。実際に味がまずくなったとお多くの人がVBを飲むことをやめてしまった。
これを重く見たCUBは2012年10月、オリジナルレシピ復活させた。(同時にアルコール度数は再び元の4.9%へと引き上げられた。)
メディアにもオリジナルレシピ復活を発表し、なんとか人気の下落に歯止めをかけようとしたのである。※3
その後VBななんとかシェアNo1を取り戻すも現在まで依然としてXXXX GoldとシェアNo1を競いあう状況が続いている。

さて、冒頭の表現「オーストラリア国内では完全に支配的な地位を築きあげている。」に話を戻す。
本製品は長きに渡りオーストラリアのビール業界を牽引、かつ支配してきた事やシェアNo1は現在でも(入れ替わりはあるものの)守り続けている事から上記表現が差し支え無いものだと考えている。
これからもよほどのシェアのひっくり返りなどが無い限りしばらくは
オーストラリアのビール=VB
という考えは変わらないだろうし、このサイト内でも変えないつもりである。

※3:オリジナルレシピ復活もまたビール業界、ビール好きなものにとっては大きなニュースとなった

 

日本国内でのVB

日本国内でこのブイビーに関して目を向けてみよう。
日本に輸入されているオーストラリア産ビールの中で最も見かけるものはおそらくフォスターズラガーではないかと思われる。
その次に見かけるのがこのビクトリアビターやXXXX Bitter(フォーエックス ビター)であろうか、時々カールトンクラウンラガーなんかを見かけることもある。
しかし残念ながらオーストラリアビールそのものの人気が殆ど無く販売されている店舗も少ない。そもそもフォスターズラガーですら知らない人は多いのではないだろうか。
輸入ビールといえばバドワイザー、コロナビール、ハイネケン等が目につく。
しかーし!!!日本人でオーストラリアのビールを知ろうと考えている人は何を差し置いてもまずこのビクトリアビターから飲んでおかなければならない。
「オーストラリア ビール」=「ビクトリアビター(ブイビー VB)」なのだ!
有名だからとか、よく見かけるからという理由で(オーストラリアのビールと言えば)まずフォスターズラガーからだと言われることが少なくない。
しかしそれは完全な誤りである。まずはこのブイビーからなのである!
英語っぽく言えばヴィービーからだ。このヴィービーをさし置いてオーストラリアビールを語ることはできないし、してはいけない!まずはこれからなのだ!!
(熱くなりました。すみません。)

 

ビクトリアビター(ブイビー)の味わい

ブイビーの味わいは、控えめな麦芽の香りにそれほど強くはないが際立ったホップの苦味、ワイルドかつ爽やかな香りでとても飲みやすく思わずガブガブと進んでしまう。そんな心許せる味わいはさすがオーストラリアのベストセラービールである。

ちなみに名前には「ビター」とつくものの特別際立った苦みを持つわけではない。

オーストラリアで飲むビール一般的なレベルである。
オーストラリア通でなくても一度飲んだらその味は忘れられず、たまに飲むたびにどこか遠くの地元へ帰ってきた、そんな安心感を覚える。

などと、まとめてみたが実際は大手メーカーがが醸造する大量生産的などこにでもあるいわゆる普通のビールだ(ただ、日本のものとはやはり方向性は大きく異る)。 しかしそれこそが長く売れ続けている理由であることは間違いない。
このビールに限っては美味いだの、まずいだの香りがどうだ後味がどうだ、なんたらかんたら、どうでもいい。必要ないのだ。いいから飲む。飲まなければならない。そんな存在。感じるのだ。オーストラリアを感じるのである。いいから今すぐだ。
オーストラリアビールでは必ず飲んでおかなければならないビール。

更に突っ込んだビクトリアビターの本音を語ったブログ記事は以下。
ビクトリアビター(ブイビー VB)紹介のブログ (別ウィンドウ)

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