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ビクトリアビターエクストラ(Victoria Bitter Xtra)

ビクトリアビターエクストラ
  • オーストラリアで最も有名なブランド「ビクトリアビター」の派生形ストロングバージョン
  • アルコール度数は6%とラガービールの中ではかなり高いものとなる
  • 味わいの評価はよいが、販売形態のセコさに不満を訴えるものが多い
目次

基本情報

ビクトリアビターエクストラ(VX)
ビクトリアビターエクストラ(VX)Sited from https://www.victoriabitter.com.au/
名称:ビクトリアビターエクストラ(Victoria Bitter Xtra)
産地:ビクトリア州 メルボルン
ビアスタイル:ラガー
アルコール度数:6.0%
IBUNo Data
EBC (SRM)No Data
タイプフルストレングス
醸造所:カールトン&ユナイテッドブルワリーズ
Carlton & United Breweries (CUB)(通称「CUB」)
ビクトリアビターエクストラ(VX)
ビクトリアビターエクストラ(VX)Sited from https://www.victoriabitter.com.au/

ビクトリアビターエクストラ(ブイ・エックス)概要説明

ビクトリアビターエクストラ(VICTORIA BITTER XTRA)はオーストラリアビール大手でシェアNo.1のメーカーカールトンアンドユナイテットブルワリーズ(通称「CUB」)が醸造するラガータイプのビール。

オーストラリアのアイコン的かつ最も有名なビールビクトリアビター(Victoria Bitter)の派生形として2023年3月に市場に投入された。

通常のビクトリアビターの略称をVBとしているのに対し本製品、ビクトリアビターエクストラの略称はVX(ブイエックス)とされている。
緑を基調にしたVBのイメージカラーと異なり、VXには攻めの赤を起用した。
またエクストラの部分は正しい単語の「Extra」ではなく、略語や言葉遊びなどに利用される「Xtra」を採用。

ビクトリアビターページ内「ビクトリアビターの迷走」に記載がある通りVBはこれまでにも様々な挑戦を実施してきた。今回の挑戦についてCUB公式アナウンスは「過去100年で最大級の発表」と位置付けている。
本製品の大きな特徴はアルコール度数を通常版の4.9%から6.0%に引き上げ味わいをストロングにしたところだ。

CUBブランド・ディレクターのサラ・ウィルコックス(Sarah Wilcox)氏は以下のように述べている。

 「VXの発売は、COVID*期間が明けた後、ビール愛好家が信頼できるブランド、ビクトリアビターに戻ってきたこと、つまりVBの復活を遂げたことに起因します。」
「何世代にもわたって親しまれてきた素晴らしいVBの味を、ビール愛好家の皆様に少し大胆で濃厚なバージョンとしてお届けするためにVXを発売しました。このビールは、仲間と一緒に楽しむために醸造され、様々な場面で美味しいビールの選択肢を増やすことを目的としています。」
*2019年~2020年頃に世界中で発生した新型コロナウィルスによるロックダウンについての事を述べている

サラ氏はさらに続ける。
「カールトン&ユナイテッド・ブリュワリーズのビール売上の約30%は、ゼロ、低、中度アルコール度数のビールです。」

「しかし、クラフトビールの分野ではアルコール度数の高いビールの人気が高まっており、伝統的なビール愛好家の中にも、より大胆で濃厚な風味を求める市場があると思います。すべては選択の問題なのです。」

「新しいVXのために、象徴的なVBのレシピをあまりいじりたくありませんでした。長い記憶を持つビール愛好家なら、私たちが以前レシピの変更をしてしまい、失敗したことを覚えていることしょう。そんなことはもうしたくないのです。今回は消費者の声に耳を傾け、皆さまが望むものを提供しています。」

このように述べられている通り、できるだけレシピは変えず、VBのバランス味わいをそのまま残す造りを心掛けた。
現在ではオーストラリアにもクラフトビールはすっかり根付き、IPAをはじめとした高アルコールビールにも多くの需要がある。
また日本のストロングゼロが若者のみならずすべての愛飲者たちの間で頃急成長を続けていることもVX開発のヒントになった。これはCUBの親会社、アサヒグループホールディングスによるマーケティングも一役買っている。

ビクトリアビターエクストラに対する不満

しかし、本製品には消費者から大きな不満が出ている点がある。それは値段の高さと、そこに垣間見えるCUBのセコさである。
まずボトルサイズであるが通常版のビクトリアビターが1本375mlとオーストラリア国内一般的なサイズであるのに対し、本製品、ビクトリアビターエクストラは1本250mlとした。このサイズの違いにかかわらず2024年現在において通常版、エクストラどちらも同じ値段で販売されている*。
*当時の実売価格が1本 A$5.50~ A$6.00程度と多少の幅はあるが、酒量販店ではどちらも同じ値段で販売されることがほとんどであった。

またワンケース24本セットより下のパックとして通常のビールは6本を1セットとして販売されるところをエクストラは4本セットのみの販売とした。パックの販売価格を下げているように見せることにより心理的にお求めやすさに訴えた。

オーストラリア人はアルコール量の目安としてスタンダードドリンクを活用することがしばしばある。通常版ビクトリアビターがスタンダードドリンク約1.5に対し、このビクトリアビターエクストラは約1.2となっている。アルコール度数が高いにもかかわらず量が少ないことから、それぞれ1本分を飲んだ時には通常版よりVXの方が、結局酔えないという皮肉を生み出した。 一部のビールファンからは「過去、顧客に黙ってアルコール度数を下げたりした体質は変わっていないのではないか。本当にセコイ。」と怒りにも似た失望の声が上がっている。

ビクトリアビターエクストラ(ブイ・エックス)の味わい

味わいに関して言えば実は評価の高い声が多く届いている。通常版ビクトリアビターのあじわいをしっかりと踏襲、それでいて輪郭が際立ちしっかりストロングな仕上がりが分かるようになっている。
もう少し細かく分析していこう。

まずはグラスへ注いだアピアランスである。液体のカラーは一般的なビールよりすこし濃いめ、泡はややケミカル感を残す粗目のそれ。この辺りは通常版とほとんど同じと言ってよい。
さわやかな草原を思わせる香りやペールモルトの麦芽感、この辺りもVB、VXとの違いはほとんど感じられない。

口に含んで実際に飲んでみると、第一印象は本当にビクトリアビターを飲んでいるかのような錯覚で大きな違いを感じられない。しかししっかりとしたモルティな甘さ、ほどよい苦味の中に草のような柑橘系皮の風味に加えアルコール度数6%のぐっと来るボディー、これはまさにエクストラならではの演出といってよい。
程よい強めの炭酸にノド越しが非常によくキンキンに冷やしてグビグビと勢いよく飲のも楽しいが、エクストラの良さを楽しむなら通常の温度かやや高めで飲んでもよいだろう。 過去迷走した過去のビクトリアビター派生形とは一線を画し、本エクストラはオーストラリア国内に根付いていくのか、答え合わせは日々行っていくことにしよう。

ビクトリアビターエクストラ
ビクトリアビターエクストラ 画像提供 https://www.victoriabitter.com.au/
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