基本情報
名称 | クーパーズ パシフィック ペールエール(Coopers Pacific Pale Ale) |
産地 | 南オーストラリア州 アデレード |
ビアスタイル | セッション エール |
アルコール度数 | 4.2% |
IBU | 36 |
EBC (SRM) | 7 (4) |
タイプ | フルストレングス |
醸造所 | クーパーズブルワリー(Coopers Brewery) |
クーパーズ パシフィックペールエール 概要説明
クーパーズ・パシフィック・ペール・エールはクーパーズブルワリーが販売する定番ビール製品の1つ。上面発酵のペールエールでアルコール度数を4.2%と一般的なビールのそれよりごくわずか抑えることにより「セッション・エール」というスタイルに仕上げた。
ビールのスタイルで「セッション」と言えばアルコール度数を抑えた製品を意味する。しかしオーストラリア国内において「セッション」の言葉はあまり利用されることがなかった。というのも、オーストラリア国内のビールは、アルコールの強さによりフルストレングス、ミッドストレングス、ライトビールとの分類分けがなされており、それらの名称で呼ばれることが多いためだ*。
本製品はフルストレングスとミッドストレングスのちょうど中間あたりに位置しており、公式ではフルストレングス、ミドルストレングスの発表は無く「セッションエール」という表現が利用されている。
*詳しくはアルコールの強さによるビールの分類のページを参考に
かつては「クーパーズ・セッションエール」として販売
本製品、パシフィック・ペールエールの登場は2020年10月であるが、実はその前身となるものがクーパーズ・セッションエールの名のもとに2017年10月に販売開始となっている。セッションエールもパシフィック・ペールエールもコンセプトや原材料は全く変わらず名前のみ、リ・ブランディングした形だ。
オリジナルのセッション・エールが販売された際のコンセプトは、「フルーティーで飲みやすいスタイルのビール需要の高まりに応える為」という事で、オーストラリアではややニッチと考えられる「セッション性のあるビール」セグメントを埋めることを狙った。プレミアム品質で爽やかな「サマースタイル」のビールを求める消費者に応えた。この絶妙な立ち位置は、クーパーズの名前の力もあってあっという間に人気を獲得した。
名称変更によるリブランディングでは、オーストラリア太平洋岸のライフスタイルを強調することを目指したと説明されている。トロピカルでフルーティーな風味がある事をさらに印象付けこのカテゴリーでの位置づけを明確にする、と開発当時のクーパーズのディレクターは語っている。
元々オーストラリアには「パシフィック(Pacific)」という名前を含むビール製品は多い。太平洋に臨む大陸や真夏のトロピカルなイメージがフルーティーでホッピーなビールと重なるためだ。今回のリ・ブランディングではそういったイメージを持つエリアをクーパーズとして明確にカバーしようという心意気も見て取れる。
製法においてはもちろんクーパーズの伝統で高い品質を保った。これはクーパーズすべてのビールで守られている基本事項である。もちろん瓶の中で二次発酵されるご機嫌な醸造方法もそのままで、やや濁った外観を持つ仕上がりとなった。
麦芽にはペールモルトを、ホップにはギャラクシーとメルバを組み合わせ、同ブルワリー秘伝のクーパース・エール酵母にてじっくりと醸し出した。ホップ投入においては、しっかりとした苦味の演出に加え風味とアロマを引き出すためドライホップ製法とした*。
これにより、ドライホップの苦味が後口で程よく感じられクーパーズお得意の絵エステル風味に加え絶妙なバランスに仕上がった。
*ビールを煮出す段階ではなくある程度発行が進んだ段階でホップを投入する製法の事フレッシュで強烈なホップの香りが出るのが特徴。
セッションエールのころから変わらず、いやパシフィック・ペールエールに変わった後はそれ以上に人気を獲得し続けている。
クーパーズ パシフィックペールエールの味わい
クーパーズセッションエール改め、パシフィックエールの味わいに迫ろう。
美しいパシフィックブルーの缶から勢いよくグラスへビールを注いでみる。まずはEBC 7というかなり明るい色合いのペールイエローな液体に、クーパーズお得意、瓶の中で二次発酵させた際に現れる美しい濁りがうかがえる。その中を勢いよく流れる炭酸はとても爽やかな印象を与える。
香りはと言えばレモン、ライム、オレンジなどの柑橘系のアロマに続いてやさしいペールモルトの甘さが追いかける。パシフィック・ペールエールの名前のとおりとても爽やかな夏のビールの装いだ。
さて実際にこの美しい液体を口へ含み、鼻に香りを送り、のどへ流し込んでみる。香りで受けた印象をそのままに、輪郭をはっきりさせた爽やかなレモン、ライム、に続きこちらも香りの通り柔らかな麦芽の甘さが続く。最後はふわーっと適度な苦味が追いかける。さらに適度なスパイシー感。ほほぅ。チープな言葉でお許しを。めちゃくちゃうまい。
さらに見た目の印象の通りしっかりとした炭酸がさわやかさに勢いを増している。ボディーはミドルからライトだがこれはアルコール度数が4.2%であることやコンセプトからもわかるがあえて狙った通りだろう。全体的にはキレがあり、爽やかでゆっくりでもガブガブとも飲める素晴らしい出来栄えだ。
大手大量生産ミッドストレングスの無駄にガブガブ飲ませる系ではなく、ゆっくりしっかりと味わいながら、それでもいつまでも飲めてしまう丁寧さがある。さすがクーパーズといおうか。人気が出るビールのお手本のような作品だ。