- オーストラリア国内で最初に立ち上げられたといわれるクラフトブルワリー、マチルダベイブルーイングカンパニーが造るビール
- 1986年から販売されているオーストラリアを代表するクラフトビールとして知られる小麦のビール
- 味、香りともに大変複雑でフルレーバーなミドルボディー
基本情報
名称 | レッドバック (REDBACK) |
産地 | ビクトリア州 メルボルン |
ビアスタイル | オーストラリアンサマーエール、ベルギー小麦ビール |
アルコール度数 | 4.7% |
IBU | 18 |
EBC (SRM) | 9 (5) |
タイプ | フルストレングス |
醸造所 | マチルダベイブルーイングカンパニー(Matilda Bay Brewing Company) |
レッドバック概要説明
レッドバックはマチルダベイブルーイングカンパニーが製造するフラグシップ製品の1つでクラフトブルワリーが醸造する製品としては極めて知名度が高い。「小麦ビールのスタイル」という枠を取っ払ってもオーストラリア国内のクラフトビールと言えばこのレッドバックと言われるほどの定番品とされる。
(日本人向け多くのブログでは「レッドバックなくしてオーストラリアのビールを語るべからず」といわれているそうですね」)
1984年に同ブルワリーが開始されてから早い段階の1986年、当時のマスターブルワーを担当するフィル・セクストン(Phil Sexton)市によって生み出され、当初はサマー・ヴァイツェンの名で市場に投入された。当時オーストラリア国内では珍しいヴァイツェンスタイルのビールは瞬く間に人気を獲得したがなじみのないヴァイツェンというつづりを正しく読めない人が多かったためレッドバックと改名された*。
*ヴァイツェンの発祥は南ドイツのバイエルン州で、英語ではweizenとつづる
ヴァイツェンの伝統的な味わいを守りながら当時のオーストラリア人の好みに合うよう味わいの調整、改良を施した。そして最初から最後までスムーズにセッションできる味わいが届けられることにこだわった。この改良により本ビールのスタイルはオフィシャルにて「オーストラリアンサマーエール、ベルギー小麦ビール」と表現されている。
アロマはミカンの皮のようなフローラル香、ほのかなホップのスパイスと少しビスケットのようなモルトの風味。口当たりはクリーミーで柔らかく、それでいてしっかりとしており、愛らしいレモンカードと熟した果実の香りのバランスが良く、飲み応えのあるバランスの良いマイルドな味わい。フィニッシュは明るく、非常にフレッシュ。
オフィシャルの自信を持った説明だ。
レッドバック(毒グモ)
そもそもレッドバックとはオーストラリアを原産地とする毒クモの事で、日本名をセアカゴケグモという。日本には1995年に国内で初の発見が報告されておりその後は定着したと考えられている。
毒を持つのはメスのみで黒い体に赤い模様があるのが目じるしとなる。毒性はそれほど強くなく重症化する事は少ないとされるがアナフィラキシーショックが発生することもある為注意が必要だ。
マチルダベイブルーイングカンパニーが本ビールの名前をなぜレッドバックにしたかの明確な記録は無いが、同ブルワリーはこのほかにも
- オウルオリジナルエール(オウル(Owl)はフクロウの事)
- ドッグボルター(犬の意味を含む)
- ビーズニーズ(蜂の意味を含む。かつて存在したビール)
- ファットヤック(太ったヤク(ウシ科の動物)現在は小会社に移管されれ醸造中)
など昔から動物を連想させる製品名を持つものが多い。
レッドバック=毒クモ=ネガティブ
となる人々の発想を
レッドバック=おいしいビール=ポジティブ
と、少しでも良いイメージを持てるものにしていこうという同社の心意気なのかもしれない。
レッドバックの味わい
それでは実際我々日本人がこのビールをテイスティングしてみるとどのような印象を受けるだろうか。
まずはビールをグラスに注げば非常にきめ細かいクリーミーな泡に気づかされる。そして瞬間に立ち上る心地よいアロマだ。しかし小麦ビール期待できるエステル香というよりはむしろモルティーな穀物感にやさしい小麦香。温度や保存によってもこの辺りは印象が変わるかもしれない。液体のカラーは全く薄くなく、しかし濃すぎない一般的なそれだ。
口に含んでみるとどうだろうか。まずは小麦ビールに期待されるバナナをはじめとしたエステル香がやってくるがその後に甘さがぐっと押し寄せ最後にクローブやスパイスの心地よい余韻そしてやさしい苦味もビール感を引き立てる。また甘さがずっと続き口の中でいつまでも楽しめるがそれでいてスッキリとしておりボディーとしてはミディアムと言っていいだろう。
2口目、3口目と飲んでいくごとにわかるのだが非常に複雑な味わいに驚かされる、冷やして飲んだ場合、またゆっくり飲みながらぬるくなってきたころ合い、全く違う顔をのぞかせる。食事と合わせるのは少しもったいない印象でできれば時間をかけ、ゆっくりとやや高めの温度で飲むのが最高だろう。
オーストラリアのクラフトビール、最高峰の1つの実力を知る製品である。