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スタンダードドリンク

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スタンダードドリンク (スタンダードドリンクス)

オーストラリア国内でアルコール飲料を飲んでいると、また日本にいてもオーストラリアのアルコール飲料製品を見ると時々下3つで示すようなマークがボトルや缶(また、オーストラリア国内では飲み屋の壁等に貼ってあるポスター)に描かれていることに気づく。
これらはStandard Drink(スタンダードドリンク)の値を示したものである。
一番左は瓶ビール製品に描かれており、ビール1本で1.3スタンダードドリンク、真ん中はワインボトルに描かれておりワインボトル1本でで8.3スタンダードドリンク、一番右は出来合いの瓶入りカクテル等で、グラス1杯で約1.0スタンダードドリンクということを示している。ちなみに下図、一番右の絵に書かれている「APPROX」は「約」という意味だ。

スタンダードドリンク表記イメージ
スタンダードドリンク表記イメージ
スタンダードドリンク表記イメージ

なお、オーストラリアでスタンダードドリンク 一般の話をする際は「standard drinks」と複数形になる事から日本語でも同様に「スタンダードドリンクス」と表記することがある。
しかしこのサイトでは「スタンダードドリンク」の表記で統一する。

スタンダードドリンクとは

オーストラリアにはアルコール摂取量の目安としてスタンダードドリンクという言葉を採用している。
まず

「1スタンダードドリンク」とは「純アルコール10g」のことを指す。
純アルコール10gを量に換算すると「12.5ml」となる。
つまり

1スタンダードドリンク = 純アルコール 10グラム = 純アルコール 12.5ミリリットル

を意味する。
英語では「a standard drink」や「one standard drink」、「two standard drinks」等と表現される。
アルコール飲料がビールであろうとワイン、カクテルその他どんなものであろうと1スタンダードドリンクに含まれる純アルコールの量はいつも必ず10gを意味する。
ちなみに純アルコールとはエタノール(エチルアルコールとも呼ぶ)のことである。

スタンダードドリンクの目的

スタンダードドリンクを採用する目的は、アルコールの摂取量を例えばビール2杯、ワイン3杯などと曖昧に数えるよりは、スタンダードドリンク数を数えていくことにより、自分がどれだけのアルコールを摂取したかをより確実に把握できる事、そして、覚えやすいからというものである。

これはまた自分が飲んだアルコール量を把握することにより、オーストラリアで社会問題の1つとなっているアルコールによる健康被害を減らそうという取り組みの1つとしても役立っている。
国の政府機関、オーストラリア政府 国立保健医療研究委員会( Australian Government National Health and Medical Research Council (NHMRC) )の取り組みについても後述する。

スタンダードドリンクの計算方法

スタンダードドリンクは以下の計算方法により求められる。

容量(リットル) × アルコール度数(%) × 0.789 = スタンドードドリンク

例えば オーストラリアの国民的ビール、ビクトリアビター(Victoria Bitter)、通称VB(ブイビー)のスタビー(Stubby)と呼ばれる小瓶を例に取りると、その容量は375mlでアルコール度数が4.6%。
これを上記式に当てはめ計算すると、

0.375 × 4.6 × 0.789 = 1.361025

つまりVBを1本飲むと約1.4スタンドードドリンク量のアルコールを摂取したこととなる。

さらに続けてロングネック(Long Neck)と呼ばれる750ml、大瓶のビールを飲んだとする。
仮にアルコール度数が同じく4.6%だとすると

0.750 × 4.6 × 0.789 = 2.72205

約2.7スタンダードドリンクのアルコール量となり、先ほどの1.4スタンダードドリンクと合わせて合計で4.1スタンドードリンクを摂取した計算になる。

1スタンダードドリンクの目安

1スタンダードドリンクは概ね以下の量のアルコール飲料と同等である
 ・285mLのフルストレングスビール(アルコール度数4.8%)
 ・375mLのミッドストレングスビール(アルコール度数3.5%)
 ・425mLののライトビール(アルコール度数2.7%)
 ・100mLのワイン、スパークリングワイン(アルコール度数12%)
 ・30mLのウィスキー、ブランデー等スピリッツ(アルコール度数40%)
 ・275mLのRDT(Ready to Drink)と呼ばれる出来合いアルコール飲料
  (瓶入りカクテル等)(アルコール度数5%)

スタンダードドリンクのラベル

ではここでスタンダードドリンクに使われるラベル2種類を紹介しよう。

まずはビール瓶からの紹介である。
下写真はメルボルンビター(MELBOURNE BITTER)という商品であるがラベル右上にスタンダードドリンク2.7の表記がある。
この瓶はロングネックと呼ばれる大瓶でその容量は750ml、アルコール度数はラベルに表記がある通り4.6%である。
これらを上の計算式に当てはめてみると
0.750 × 4.6 × 0.789 = 2.72205
であるから、約2.7となり。ラベルの数値と一致する。

ビールラベルのスタンダードドリンク表記
ビールラベルに表記されるのスタンダードドリンク

次にワインボトルである。
印刷がかなり薄くて読みにくく恐縮ではあるが、容量750mlにアルコール度数は14.5%、このボトル1本で8.6スタンダードドリンクとの表記がある。
念の為に計算してみると
0.750 × 14.5 × 0.789 = 8.580375
であるから実際に約8.6となる。
ちなみにこれは

ワインボトルのスタンダードドリンク表記
ワインボトルのラベルに記載されるスタンダードドリンク

スタンダードドリンク利用目安

お店で購入したアルコール飲料には必ずスタンダードドリンクの記載が有る為、自分が何スタンダードドリンクを摂取したかという計算は比較的容易である。
外食の際や、パブなどへいった際はグラスで提供される為コップ1杯がどれくらいスタンダードドリンクかというのはわかりにくいものだろう。
そこでおおよそ次のように覚えておいてスタンダードドリンクをカウントするといった方法も取られている。

例えばシドニーを例に取れば、この地域のパブで飲まれている一般的なサイズのグラス「スクーナー(Schooner)」は425mlの容量を持つ。
そしてフルストレングス(Full Strengthと呼ばれる一般的なビールのアルコールを4.8%とする。
これを上記式に当てはめて計算すると約1.6スタンダードドリンク。

つまりビール1杯約1.6スタンダードドリンクとしてカウントしていこうというものだ。

同様にグラスワイン(赤)1杯は一般的に提供される量150mlと平均的なアルコール度数13%を元に1.5スタンダードドリンク。
白ワインは1.4スタンダードドリンク。
などなど。
これにオージーという国民性係数(?)をかけて大体1杯1.5スタンダードドリンク、 こんな感じでざっくりと覚えておけば計算もしやすいということになるのだ。

ちなみにこのスタンダードドリンク、オーストラリア独自のものではなく様々な国で用いられる計算方法ではあるが、1スタンダードドリンクのアルコール量が国によって大きく異なる。
例えばアメリカでは1スタンダードドリンクの純アルコール量は約14.5グラム(18ml)、イギリス*ではオーストラリアと同じく10グラム(12.5ml)日本では19.75グラム(25ml) となる。ちなみに日本では「1ドリンク」または「1基準飲酒量」、「標準飲酒量」等と表現されている。

日本や他の国ではあまり馴染みがない言葉でかもしれないが、オーストラリアではお酒を飲む人の誰もが知っていると言うほど浸透しているのは国がスタンダードドリンクに関して啓蒙を行っているためであろう。
先述の通り、お店で購入できる酒類には必ずスタンダードドリンクのマークが入っていることが大きくその手助けをしている要因となっている。
*イギリスではスタンダードドリンクの代わりにunit of alcohol(ユニットオブアルコール)という単位が用いられるが意味は同じとなる。

スタンダードドリンクと飲酒運転の関係

オーストラリアで自動車運転に関する法律は州によって若干の異なりはあるが、基本的な部分では一致している部分が多い。
飲酒運転に関する法律に目を向けると、一般的に一致しているのが血中アルコール濃度が0.05%以内であれば飲酒運転が認められるというものである。
(正確に言えば言えば、初心者はダメだとか、トラックや、バス、バイクの場合ではアルコール濃度が0.02%になる等を含み州によって異なったり、また細かい規定がある)

アルコールの分解能力は人により異なるが体重65kgで1時間あたり平均約5g~9gと考えられる。
オーストラリアでは日本人とは人種が異なるのでだいたい5g~12gと考えられる。

1スタンダードドリンクを短時間で飲んだ場合の血中アルコール濃度は約0.02%、2スタンダードドリンクの場合は0.05%を少し下回るくらいまで上昇する。
上記の通り1時間に9グラム前後のアルコールが代謝されるとすると、1時間後の血中アルコール濃度はおよそ0.03%。
その後1時間に約1スタンダードドリンクくらいであればこの0.05%をキープできることになる。

だらだらと書いてしまったが、ざっくりとこう考えることが出来る。
最初の1時間以内で瓶ビール(小瓶)2本弱(又は、グラスワイン軽め2杯)、その後は1時間に1本(1杯)弱くらいであれば飲酒運転として引っかからないだろう。
というものだ。

これ以上の血中アルコール濃度では厳しい罰則が待ち受けてる。
当然お酒に強い弱いと個人差があるため自分の状況と相談し0.05%大きく下回るくらいであれば大丈夫だろうということになる。

もちろんオーストラリア政府はアルコールは1滴も飲まないのが望ましいとしており、飲酒運転の恐ろしさを知って頂く用なキャンペーンを行っている。

上記の通り多少アルコールによった状態で運転は可能だとしても、我々日本人が旅行でオーストラリアに訪れる際は、「飲んだら乗らない!乗るなら飲まない!」を絶対守りたいものである。

オーストラリア政府 国立保健医療研究委員会(NHMRC)

オーストラリア政府の国立保健医療研究委員会がアルコールに関してのガイドラインなどを制定し国民に広く訴えかけている。
http://www.nhmrc.gov.au/guidelines/publications/ds10

1日平均して男性では4スタンダード・ドリンク、女性では2スタンダード・ドリンク以上飲まない、またどれだけのんだとしても1日に6スタンダード・ドリンクを超えないよう定めている。
そして1週間に1日・2日はアルコールを取らない日を設けることにより健康被害のリスクを減らうことが出来ると訴えかけている。

また同委員会ではその他多くのガイドラインを定め、それらを守ることによりアルコールによる事故を未然に防ぐ事ができるとしている。

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